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数字で咥えた涙など 塩辛くてぬるいそれは海に似ていました 綺麗で、納得がいかなかった
その瞬間終わってしまったものを目で追っていても、わたしは臆病な猫背にもならずに強く息をできました。本当は殺していたのかもしれません。本当は子猫のように美しくて綺麗な生命を殺したかったのかもしれません。そうでもしないと、納得なんてできなかったのかもしれない。人間というのは凶暴で、いや、優しさこそ凶暴なものであることを、わかってほしかった。眠る前に何度も涙して空想した、煙に消えたわたしの思惑たちが、いつかどこかで叶えられて痛いほど幸福に笑うさま。
その国の窓の格子戸でどうしても泣いてしまうわたしの涙は偽物の甘さで、わたしは海を知っていたことを思い出します。
愛や恋を言葉以外の人間で知っていたことを思い出します。
いつもそうやって、手紙を書いていた孤独なベランダを忘れてはいなかったことを。
汚れた足の裏のことを。
その瞬間にわたしは目を覚まし、現実を憎み、泣きながら全てを抱きしめるのです。口を少し開けると、世界がわたしのうちにこっそりと入ってきている。
わたしは秘密の王国を知っていて、それがたしかな嘘であることを知っています。
だからこうして、毎夜眠ることができるのかもしれません。だからこうして、子猫を撫ぜることができるのかもしれません。